FRSの連結財務諸表に関する会計基準について、日本基準との違いに焦点を当てて解説していきます。
日本基準とIFRSとの違いを考察するため、まず、両者の連結財務諸表に対する基本的な考え方を知っておいた方がいいでしょう。
(親会社説と経済的単一体説)
会計処理や表示方法は企業の実態を表現するためのものですので、企業の活動や組織形態をどのようにとらえるかによって、おのずとそれらも変わってきます。会計学の世界では、企業のグルール活動や組織について、2つの異なる考え方があり、それがいわゆる親会社説と経済的単一体説です。
一応、両説を説明すると以下の感じです。
親会社説: 企業集団は親会社が支配しているものであり、企業集団の実態を反映した連結財務諸表は親会社の株主のために作成されるべきとする考え方
経済的単一体説: 企業集団は親会社と少数株主がともに支配しているものであり、企業集団の実態を反映した連結財務諸表は親会社および少数株主双方のために作成されるべきとする考え方
日本では元来親会社説の考え方で会計基準が作られていて、IFRSは経済的単一体説によっています。
もともと親会社説によっている日本基準が、IFRSへのコンバージェンスの過程で、経済的単一体説の考え方に移行している、というのが今の状況です。
変な名称つけやがって、面倒くせって感じですよね。説の名前なんて覚える必要なんて全くありません。つまりこういうことです。
要は、日本は個別財務諸表がメインだった。連結財務諸表は個別財務諸表に子会社のうち親会社の持分を足したものという理解。
一方、IFRSは連結財務諸表がもともとメイン。全グループがもともとひとつの企業体で、個別(または個別会社)はその企業体の一部のようなものという考えです。
そんな考え方の違いが会計処理の違いに表れていて、日本の基準は少しずつ、できるところからIFRSと同じになるよう修正を重ねているんです。
IFRS 連結財務諸表 その2につづく