シンガポールの法人税申告において、ECIの位置づけはとても大きなものとなります。
ECIはEstimated Chargeable Incomenの略。日本語訳としては「変動する可能性のある見積もり所得」となりますし、全体スキームの中では、ECIのあとに本納付があるため、Estimated (見積もり)の名の通りあくまで仮という位置づけになります。
しかしながら、決算後すでに3ヶ月経過後に期限を設定していますので、ざっくりベースの申告とは違います。会社は、ECI Formという申告フォームを当局(ACRA)に提出する必要がありますし、通常はその根拠としての計算過程や根拠(Tax computation)を持っています。
会計上は、このECIに基づく納付見込み税額を、PLの法人税(Income tax expense)に計上します。会計監査は通常はECI計算後に行われるので、これが重要な場合、計上していないと適正意見の監査証明を得ることができません。
シンガポール政府はこの予定申告による企業の事務負担を理解しており、一定規模以下の会社にはECIの申告を求めていません。
免除要件に該当するかどうかの通知は特に不要である旨がACRAのHPには記載されているので特に届け出等要りません。ただし、決算前にECI申告を促すレターを受け取る場合があるので、そのような場合には対象外である旨、ACRAに一報を入れておいてもいいでしょう。
ECIが不要となる要件
一般の会社のECIの申告が不要となる要件は、2017年7月以降の決算から緩和されています。
① 売上高が5百万シンガポールドル以下であり、かつ
② 課税所得がゼロ以下と見込まれること
海外では、納付期限が遅いことを理由に、税金だけ現金主義で計上しているケースがよくあります。しかも、その状態で監査報告書がついていたりします。が、これは単なる誤りですので会計理論上は当然に発生主義で計上する必要がありますので、日本で連結財務諸表を作るような場合にはよく注意した方がいいですね
※ちなみに、2017年6月までは、① 売上高が1百万シンガポールドル以下であり、かつ② 課税所得がゼロ以下と見込まれること、が要件でした。
売上高が100万シンドル(ざっくり1億円)以上だったら所得が発生しそうならECI(予納)しなさい、だったのが、売上が500シンドル(ざっくり5億円)以上まではECI(予納)しなくてもいいよ、になったので、その当時は大分楽になりましたね。
ECI(予納)をしなくてもよい小さめの会社の方のスケジュール感はこちら。