有形固定資産

国際財務報告基準(IFRS)

IFRSの有形固定資産に関する会計基準は、IAS16号「Property、Plant and Equipment」に規定されています。

有形固定資産とは

財貨の生産又は役務の提供に使用する目的、外部への賃貸目的又は管理目的で企業が保有し、かつ、一会計期間を超えて使用されると予測される有形の資産である。

当初認識

その資産に関連する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ その資産の取得原価を信頼性をもって測定できる場合に認識します。日本基準では有形固定資産の概括的な規定はないですが、一般的な会計概念としてはIFRSと大きな相違はないですね。

日本基準との相違点

① 当初認識後の測定

原価モデルか、再評価モデルかを選んで、 同じ種類の有形固定資産に適用します。日本では再評価モデルという選択肢はありません。
原価モデル
取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上する方法。
再評価モデル
再評価実施日における公正価値から、その後の減価償却累計額及びその後の減損損失累計額を控除した額で計上する方法。この方法では、定期的に公正価値を見直し、公正価値によってBS価額を修正し、評価差額はその他の包括利益に計上します。BS重視の考え方から情報の有用性はありそうですが、定期的に不動産鑑定評価書の取得等が必要になるなど事務が煩雑なうえに、結局原価モデルに基づく帳簿価額を開示する必要があることもあり、EUにおいても一般企業ではほとんど採用されいないというのが実情です。

② 減価償却単位(コンポーネントアカウンティング)

重要な構成部分(コンポーネント)ごとに取得原価を配分し、個別に減価償却を実施する方法です。
日本の税法基準における分類も近いものがありますが、企業の中には、固定資産をそれほど意識せずに分類している場合もあるため、注意が必要ですね。

③ 減価償却方法

資産の将来の経済的便益の予測消費パターンを反映している方法によらなければなりません。
定額法、定率法、生産高比例法あたりが一般に採用可能と考えられていますが、定率法が資産の経済的便益の消費パターンを適切に反映していると言えるケースは少ないでしょう。

④ 耐用年数

企業が使用すると見込んでいる期間です。使用可能な状況でも処分する予定がある場合になどは、経済的耐用年数よりも短くなります。法人税法上の耐用年数表は根拠になりませんので、この耐用年数表を利用するならばこれが実際の使用可能見込み年数と整合していることを検証する必要があります。

⑤ 残存価額、耐用年数、減価償却方法の見直し

IFRSでは、残存価額、耐用年数及び減価償却方法は、少なくとも各年度末に見直します。日本では特にそのような規定はありません。
これらの変更は、IAS第8号「会計方針、会計上の見 積りの変更及び誤謬」に従って、会計上の見積りの変更として扱います。、遡及修正はせず将来の期間に向かって変更の影響を処理します。

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