独立企業間価格ってなに? 移転価格税制③

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移転価格税制ってなに? 移転価格税制① で、移転価格税制について、「海外に所在する国外関連者との取引価格を操作することによる所得の海外移転を防止するため、その取引について第三者との取引価格、すなわち、独立企業間価格を用いて所得を再計算し課税する制度」という定義を紹介しました。
そして、独立企業間価格について、さらっとお話しました。

おさらいすると、独立企業間価格とは、当該国外関連者間取引と同様の状況のもとで、独立第三者間において同種の取引が行われた場合に成立すると認められる価格、すなわち経済合理性のある取引関係に基づく適正な価格です。要は、普通にグループ外の会社と取引したらいくらかってことです。

独立企業間取引の算定方法

では、この独立企業間価格は、どのように算定するのでしょうか。

租税特別措置法その他の法令等では、次に掲げる複数の方法のうちもっとも適切な方法を選択して算定しなけらばならないとなっています。
その複数の方法とは以下のとおりです。

(1) 基本三法
① 独立価格比準法(CUP法)
② 販売価格基準法(RP法)
③ 原価基準法(CP法)
(2) その他の方法
④ 取引単位営業利益法(TNMM)
⑤ 利益分割法(PS法)
a) 比較利益分割法、
b) 寄与度利益分割法
c) 残余利益分割法

名前だけで大分お腹がいっぱいですね。
でも、安心してください。これらは名前だけそれらしくつけてるだけで、要は「似たような他の取引と比べて、あなたの売価はどうよ?利益少なすぎてない?」ということを、いろんな売価だの原価だの粗利だの営業利益だのを使って検討しているだけです。
上記のうち、(1) ① 独立価格比較法から、(2) ② a) 比較利益分割法までは、似たような第三者の取引を見つけてきて比較する方法です。(2) ② b) 寄与度利益分割法と c) 残余利益分割法は、自社の費用などを基準に、親会社と子会社の合計の利益を分け合う方法のなので、自己完結的です。

各方法の説明

このサイトでは、まずはとっつき難さを取り除けるよう、誤解を恐れずに、ごくごく簡単にご説明します。

① 独立価格比準法(CUP法)

第三者が同じ条件のもとで行っている取引(以下「比較対象取引」とします)の価格をつかって、移転価格(親会社から子会社に売る価格)を計算する方法。

② 販売価格基準法(RP法)

子会社の粗利が、比較対象取引の粗利と同じになると考え、子会社の売価からその粗利で割り戻して、移転価格(子会社の仕入価格(親会社の売価)
を計算する方法。

③ 原価基準法(CP法)

親会社の粗利が、比較対象取引の粗利と同じになると考え、親会社の原価からその粗利を加えた価格で、移転価格(親会社の売価(子会社の仕入価格))を計算する方法。

④ 取引単位営業利益法(TNMM)

比較対象取引の営業利益を使って、移転価格を計算する方法。②販売価格基準法のように子会社の販売価格から割戻す方法と、③原価基準法のように親会社のコスト合計から販売価格を計算する方法がある。

⑤ 利益分割法(PS法)

ある取引から発生した、親会社と子会社合計で獲得した利益を、然るべき方法で案分して計算し直す方法。例えば親会社の利益が少なすぎて、子会社の利益が多すぎるような場合、一旦合計して配分し直す方法です。

a) 比較利益分割法
その配分の基準を比較対象取引から持ってくる方法
b) 寄与度利益分割法
寄与度(例えば、親会社と子会社の販売促進費の割合)で配分する方法
c) 残余利益分割法
合計利益から、それぞれの維持コストをまず確保したうえで、その残りの利益を然るべき基準で分割する方法

いかがでしょうか。
一旦何をしようとしているのかという基本に立ち返った方が混乱しにくいかと思います。要は、何か合理的な基準が欲しくて、そのやり方を模索しているんですね。

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