国外関連者ってなに? 移転価格税制②

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移転価格税制ってなに? 移転価格税制① で、移転価格税制について、「海外に所在する国外関連者との取引価格を操作することによる所得の海外移転を防止するため、その取引について第三者との取引価格、すなわち、独立企業間価格を用いて所得を再計算し課税する制度」という定義を紹介しました。

独立企業間価格は、上のリンク先でも触れましが、簡単にいえば、通常の取引価格ですね。

国外関連者とは?

この「国外関連者」と取引する場合に注意しなければいけないので、この定義も大事ですね。変な言葉作りおって(怒)… しょうがないですね、専門家とはそうゆう生き物です。というか、難しそうにして、業務を委託してもらう作戦と私は思っていますけど。とはいえ、ここは専門領域なので、専門家に任せて、日本の方々には本業に専念してほしいとは思います。それもひとつの事業成功の秘訣だと私は思います。
すいません、脱線しました。

国外関連者について、国税庁は「外国法人で、法人との間に、持株関係、実質的支配関係又はそれらが連鎖する関係の「特殊の関係」のあるもの」と定義しています。要は、日本法人の支配下(取引価格をやろうと思えばコントロールできる状況下)にある外国法人のことです。

でも、国外関連者の範囲があいまいだと制度の対象かどうかの判断がつかないので、判断基準として形式基準と実質基準が示されています。

① 形式基準

株式の保有割合を基準にして判断します。発行済株式の総数又は出資金額の50%以上を保有しているかどうかです。これは直接保有しているか間接的に保有しているかは問いません。また、親子会社間のみならず、孫会社へも、また兄弟会社間の取引も対象になります。親会社が価格をコントロールできるかどうかですので、範囲は親会社との取引以外にもおよびます。

ちょっと大げさな図になってしまいましたが、肝はB社とC社。

移転価格税制の国外関連者の形式基準による判断は、純粋にそれぞれの持株比率が50%以上かどうかで行います。

したがってB社は、親会社の持分比率は80%×60%=48%で50%を下回っていますが、A社のB社に対する持株比率は50%以上なので、B社は国外関連者に該当します。

また、C社はX社との合弁会社ですが、純粋に親会社の持分は50%以上ですので、C社は国外関連者になります。

② 実質基準(実質的支配)

このような形式基準を設定すると必ず実質で打ち破ってくる人が出てくる(例えば形式的な株主を入れて持株比率を49%に抑えて、役員を派遣して…といったように)ので、実質基準による判断を加えています。

a) 役員を派遣している

  • 一方の法人の2分の1以上又は代表する権限を有する役員が他方の法人の役員若しくは使用人を兼務している
  • 一方の法人の2分の1以上又は代表する権限を有する役員が他方の法人によって実質的に決定されていると認められている事実がある

b) 営業の依存度が高い

  • 一方の法人がその事業活動の相当部分を他方の法人との取引に依存している
  • 一方の法人の事業活動が他方の法人の著作権、工業所有権(特許権、商標等)、ノウハウ等に依存している

c) 資金依存している

  • 一方の法人がその事業活動に必要とされる資金の相当部分を他方の法人からの借入又は他方の法人の保証を受けて調達している

といった具合です。

みなし国外関連者・・・

上記のように定義すると、今度は、「ん? じゃあ、商社とか知りあいの個人でも間にはさんで取引すればいいかな?」などと考え出す方が出てきます。残念ながらできません。

法人が国外関連者との取引を非関連者(当該法人の他の国外関連者および当該国外関連者と特殊の関係のある内国法人以外の者)を通じて行っている場合、当該法人と当該非関連者との取引は当該法人の国外関連取引とみなされ(みなし国外関連取引)、移転価格税制が適用されてしまいます。まあ、制度の趣旨からすれば当然ですかね。

国外関連取引とみなされる取引って?

このみなし国外関連者取引、租税特別措置法(施行令)でちゃんと定義されています。

① 法人と非関連者との間の取引の対象資産が国外関連者に販売等(販売、譲渡、貸付、提供)されることが当該取引を行った時に契約その他により予め定まっている場合で、かつ、当該販売等に係る対価の額が法人・国外関連者間で実質的に決定されていると認められる場合。

② 国外関連者と非関連者との間の取引の対象資産が法人に販売等されることが当該取引を行った時に契約その他により予め定まっている場合で、かつ、当該販売等に係る対価の額が法人・国外関連者間で実質的に決定されていると認められる場合。

移転価格税制、結局個別判断になるので、概要だけ知っておいていただいて、該当しそうな場合にはやっぱり専門家使った方がいいですね。

次はもうひとつのキーワード、独立企業間価格をご説明しましょう。

 

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