出国税

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出国税が2015年7月1日に制度化されました。

出国税とは

● 出国時の有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の合計金額(評価額)が1億円以上有する
● 国外転出をする日前10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間が5年超である方が海外転出する場合に含み益に対して所得税を課すという制度のことです。本人が海外に転出する場合のほか、日本人の海外居住者に譲渡等を行う場合も含まれます。オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、ノルウェー、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国、米国等でも既に導入されている制度です。

出国税の特殊性

出国税はまだ売却等によって実現していない単なる評価益に対して課税します。そのため、税金を納める側からすると、納めたくても現金がないわけですから、納税資金に苦慮することが十分に考えられますよね。そこで特別な措置として、一定の手続きを踏むことで、納税の猶予(通常5年間、申請により最大で10年間)が認められています。

納税猶予のための手続き

① 国外転出の時までに所轄税務署へ納税管理人の届出する。

② 国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予の特例の適用を受けようとする旨を記載し、「国外転出時に課税があったとした場合に対象資産の明細書」を添付する

③ その確定申告書の提出期限までに、納税を猶予される所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する

④ 以降納税猶予を継続したい場合には、毎年12月31日に時点の納税猶予の対象資産に関して引き続き納税猶予の特例の適用を受けたい旨を記した継続適用届出書を、毎年納税管理人が翌年の3月15日までに所轄税務署へ提出することで、年度ごとに継続が可能である。

海外在留邦人数調査統計(外務省)

出国税が富裕層の流出抑止にどの程度効果があったか、キャピタルゲイン課税のないニュージーランド・香港・シンガポール・スイスの海外在留邦人数の推移をとってみました。が、よくわかりません。🙄😵

導入されたのが2015年7月ですので、香港・シンガポールあたりはその1年前に大分増えて、その後の増加が抑えられているという意味では、一定の効果があったんでしょうか。すでに海外にでれる富裕層は出てしまったっという感じで、微増しているのは別要因のような気がしますね。つまり、出国税の導入の効果は、短期的には既存の富裕層の早期脱出を即したというだけのことであり、日本の税収減の抑止効果は、今後新たに育つ富裕層の国外脱出時の税収減を防止するときであって、とても長期的な施策なんでしょうね、実は。

 (単位:人) 2016年 2015年  2014年 2013年
ニュージーランド 18,706  17,991  16,705  15,807
香港 26,642 27,429 27,146 24,993
シンガポール 37,504 36,963 35,982 31,038
スイス 10,614 10,310 10,166 10,166
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