シンガポールでは、海外からの投資を積極的に呼び込むため、特に法人新設時には極めて有利な優遇税制を引いています。
シンガポールの優遇税制は、アジアでありがちな経済特区や工業団地への誘致に伴うものではなく、シンガポールで一般に設立される新設法人に対しての優遇税制です。ただし、シンガポールではすでに低い法人税率とタックスリベートにより十分に有利な法人税制を敷いているので、この優遇税制は、それに加えて、主として個人のシンガポールでの起業をサポートする意味合いで設定されています。そのため、適用対象は以下のような比較的小さめの会社に限定されています。
新設法人の優遇税制の適用要件
① 株主が20名以下であること
②すべての株主が個人である事。あるいは1人の個人株主が少なくとも10%以上の株式を保有していること。
なお、投資持ち株会社および不動産開発会社は優遇税制の適用対象外となっています。実際にビジネスを行ってシンガポールの経済発展に寄与するものでないからということでしょう。
新設法人の優遇税制の内容
上記の要件を満たす企業は、獲得した所得のうち、最初の100,000ドルは100%免税、次の200,000ドルは50%免税となっています。
課税所得S$100,000まで:100%免除
課税所得S$100,001~S$200,000まで:50%免除
この優遇税制の適用期間は設立から3事業年度のみです。
それ以降も、通常のタックスリベートがありますので、企業のサイズが小さく課税所得が少ないうちは、シンガポールのさらに有利な法人税制を享受することができます。
右のリンクが通常のタックスリベートに関する記事ですので、ご参考にしてください。シンガポールの法人税 タックスリベート
新設法人の法人税額の計算シュミレーション(設立から3年間)
上記の優遇税制に加えて、通常なんらかの税額控除がありますので、実効税率はさらに低くなりますが、タックリベートだけを反映させて法人税の実効税率をシミュレーションしてみましょう。
課税所得 $200,000
①タックスリベート △100,000×75% = △ $100,000
①タックスリベート△190,000×50% = △$50,000
課税対象額 $50,000
法人税率(×17%)=$8,500
②タックスリベート(税額控除)(50%)=△$4,250
法人税額 $4,250
実効税率はなんと4.14%!改めてシミュレーションすると強烈ですね。