まず、シンガポールの消費税(GST)の概要を押さえて、必要な措置をとっていきましょう。
GST制度の概要
Goods and Services Tax の 略です。国内消費にかかるので、税の性質としては、日本の消費税と同じようなものという基本的な理解でいいと思います。
税率
7%です。
登録制
シンガポールのGTSは登録制です。登録企業でなければ、GTSを上乗せして請求することはできませんし、GSTの申告を行うこともできません。したがって、仮払GSTが多く本来のその還付が受けられるような状況であったとしても、GTS登録をしていなければ還付申告を行うことができません。
登録方法
1年間の課税売上高(国内売上 (7%課税取引) +輸出免税等売上 (0%課税取引)) が実際に1百万シンガポールドルを超えるか、または今後1年間の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えると予測される場合には①強制登録 となります。それ以外の場合には、②任意登録 となります。支出が多く還付が期待される場合は任意登録すべきか検討した方がいいということになります。
なお、任意登録のためには、GIRO (自動引き落とし制度) に加入しなければならず、そのためには保証金が必要ですし、基本的に4半期ごとに申告が必要になるので、そのための事務処理や場合によってその委託費が必要になります。支出が多くて還付が見込める状況でも、これらの費用を考慮して任意登録すべきかどうか意思決定すべきということになります。
GST申告の流れ
決算期に応じて、原則として四半期ごとに申告します。申告期限は四半期末の翌月末です。
例えば、12月決算であれば、
第1回 : (計算期間) 1月~3月 (申告期限) 4月末
第2回 : (計算期間) 4月~6月 (申告期限) 7月末
第3回 : (計算期間) 7月~9月 (申告期限) 10月末
第4回 : (計算期間) 10月~12月 (申告期限) 1月末
四半期が原則ですが、1か月毎や6ヶ月毎に申告のサイクルを変更することも可能です。
申告期限の変更(IRASウェブサイト)
GTS課税取引の種類
GST課税の判断において、取引を以下の4つの類型に分類しています(基本的な考え方は、日本の消費税における課税取引区分と同じです)。
①課税取引
シンガポール国内での物品の販売(Goods)や役務の提供(Services)に関する取引で、7%のGST課税されます(シンガポール国外から国内への商品の輸入も含まれます)。
②免税取引
課税取引だが、納税しなくて良い(0%課税の)取引で、商品の輸出などがこれに該当します。
③非課税取引
政策的な配慮で、GST課税の対象外とされているものです。以下の3カテゴリが限定列挙されいます。
・金融サービス
・住宅用不動産の賃貸・販売
・貴金属投資
④不課税取引
シンガポール国外で行われる取引、従業員への給与、対価を得ない寄付や贈与などは、そもそもGSTの対象外です。