シンガポール駐在員事務所の設立

シンガポールの会社制度
シンガポールの駐在員事務所には、どんな特徴があるのでしょうか。

シンガポールの駐在員事務所について、その特徴を説明しながら留意すべき点に触れていきたいと思います。

① 基本的な視点

駐在員事務所は、文字通り駐在員の事務所であり、会社ではありませんし、支店でも、営業所でもなく、一出先機関(詰め所)ということを理解の出発点としていただくといいかもしれません。

② 駐在員事務所の活動範囲

最も重要な点ですが、駐在員事務所が認められている活動は現地の市場調査や情報収集などであり、事務所の駐在員は決して営業(営利)活動を行うことはできません。すでに取引がある販売代理店のサポートであってもダメです。

③ 駐在員事務所の存続期間

駐在員事務所は一度開設してしまえばそのあとずっと活動できるわけではありません。存続可能期間は3年間のみです。
3年後には閉鎖するか、支店・会社に移行しなければなりません。移行といっても、新規設立ですので、設立コストがかかります。この期限と支店または会社のコスト感も踏まえて、駐在員事務所という選択肢を検討したほうがいいと思います。

④ 設立できる会社の条件

どんな会社でも、シンガポールに駐在員事務所を開けるわけではありません。
駐在員事務所を開設できるのは、設立から3年以上経過していて、売上高が250,000米ドル超の会社です。

⑤ 駐在員事務所に派遣できる駐在員数

配置できる駐在員は5名未満です。

どのような場合に駐在員事務所の形態が適するか

ではどのような企業が、駐在員事務所という形態でシンガポール進出をすべきなのでしょうか。

将来のシンガポールでの事業設立のため、市場調査と情報収集を目的にしている場合のみ適した組織形態です。会社維持のための法的費用はほとんどいりませんし、撤退も極めて簡単ですので、シンガポールでの事業継続の確立が高くない時にはある程度利用価値はあります。
ただし、調査の結果、事業を行うとなれば、支店や会社の設立が絶対的に必要となり、その場合には設立コストが再度掛かるので、最初から支店や会社を設立した場合に比べると掛かるコストは増えます。駐在員事務所のときの維持コストは減る一方で、支店・会社へ移行するための設置コストが増えるので、トータルでのコストメリットはそれほどないかもしれません。

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